医療保険は本当に必要?50代会社員が公的制度と医療費を調べて考えたこと

固定費見直し

この記事でわかること

  • 会社員に医療保険がいらないと言われる理由(公的資料で確認)
  • 高額療養費制度で自己負担が実際いくらになるか
  • 病気で休んだとき収入がどうなるか
  • 自分に医療保険が必要かどうか確認できるフローチャート

結論:会社員は医療保険の優先度が低い理由

数年前に医療保険を解約して、後悔していません。

理由はシンプルです。

  • 医療費は高額療養費制度で自己負担に上限がある
  • 病気で休んでも傷病手当金がある
  • 本当に怖いリスク(死亡・長期就業不能)は別で備えられる

もちろん「全員いらない」とは言いません。自営業の方、貯金が少ない方、小さい子どもがいる方は状況が違います。

でも、会社員で生活防衛費がある人は、まず公的制度を確認してから判断すべきです。その手順をこの記事にまとめました。


① 高額療養費制度:医療費は「3割負担」ではない

「入院したら高額な医療費が…」という不安は、多くの人が持っています。でも実際は、3割負担の金額をそのまま払うわけではありません。

高額療養費制度とは

厚生労働省の資料によると、高額療養費制度とは、1か月の医療費が一定の上限額を超えた場合に、超えた金額が支給される制度です。

上限額は所得によって変わります。

年収の目安(70歳未満)1か月の自己負担上限額
〜約370万円約57,600円
約370万〜770万円約87,430円
約770万〜1,160万円約177,100円
約1,160万円〜約252,600円
住民税非課税約35,400円

※差額ベッド代・入院時食費は含みません。詳しくは厚労省の公式資料を確認してください。

具体例で見ると

年収500万円の会社員が入院して、医療費が100万円かかったとします。

金額
医療費(100万円の3割負担)30万円
高額療養費制度を使った場合約87,430円
差額(支給される額)約21万円

3割負担の30万円ではなく、約8.7万円で済む計算です。

⚠️ 所得によって上限額はかなり変わります

年収370万円未満なら約5.7万円、年収770万円以上なら約17.7万円。同じ「入院」でも所得次第で自己負担は3倍近く違います。まず自分がどの区分になるか確認してください。


② 傷病手当金:病気で休んでも即収入ゼロではない

「入院費より、休んでいる間の収入減が怖い」という方が多いです。これは正直な感覚だと思います。

会社員には傷病手当金があります。

協会けんぽの説明によると、業務とは関係のない病気やケガで仕事を休み、給与が受け取れない場合に、最長1年6か月を限度として給付される制度です。

傷病手当金の目安

月給傷病手当金の目安(月)
20万円約13.3万円
30万円約20万円
40万円約26.6万円

給付額の目安は標準報酬月額の3分の2です。

給料満額ではありませんが、病気で休んでいきなり収入ゼロにはなりません。

会社員と自営業では大きく違う

ここが「人によって答えが変わる」最大のポイントです。

会社員自営業・フリーランス
傷病手当金あり(最長1年6か月)なし
有給休暇ありなし
会社の休職制度会社によるなし
業務中のケガ(労災)あり特別加入制度あり(要加入)

自営業・フリーランスの方は、病気で休んだとき即収入がゼロになる可能性があります。会社員とは備えの考え方が根本的に違います。


③ 自分はどこまで守られているか:チェックリスト

まず、自分の状況を整理してみてください。

公的保障カバー状況チェック

保障対象者内容
高額療養費制度全員(公的医療保険加入者)月の医療費自己負担に上限がある
傷病手当金会社員のみ最長1年6か月、給与の約2/3
有給休暇会社員のみまず有給を使えるケースが多い
労災保険業務中の病気・ケガ休業1日につき給付基礎日額の80%
遺族年金死亡した場合(要件あり)子が18歳年度末まで等の条件あり
団信住宅ローンがある人死亡・所定障害でローン残高が消える

「会社員かどうか」「住宅ローンがあるかどうか」だけで、守られている範囲がかなり変わります。


④ 医療保険が必要かどうかフローチャート

自分の状況に当てはめながら確認してみてください。

STEP1:あなたは会社員ですか?

 はい ──────────────────→ STEP2へ
 いいえ(自営業・フリーランス)→ 傷病手当金がないため収入減リスクが大
                                  医療保険より「就業不能保険」か
                                  「生活防衛費6か月分」を先に検討


STEP2:生活防衛費(月支出×6か月分)はありますか?

 ある  ────────────────→ STEP3へ
 ない  ────────────────→ 生活防衛費を貯めることが先
                                  医療費は制度で抑えられるが
                                  貯金ゼロで入院すると生活が回らない


STEP3:小さい子どもがいますか?(末子が18歳未満)

 いる  ────────────────→ 死亡保障が必要な可能性が高い
                                  「家族が困る期間だけの掛け捨て死亡保険」を検討
                                  医療保険の優先度は引き続き低め
 いない ───────────────→ STEP4へ


STEP4:住宅ローンはありますか?

 ある(団信あり) ─────→ 死亡時にローンが消えるため
                                  死亡保障の必要額はその分下がる
                                  → 医療保険の優先度は低め

 ない or 完済済み ─────→ 貯金・投資資産と照らし合わせて
                                  「家族が困るか」を確認

⑤ 本当に備えるべき2つのリスク

医療費と休職収入は、公的制度でかなりカバーできます。

カバーしきれないリスクはどこか。

リスク① 死亡

小さい子どもがいる家庭で、家族の生活を支えている人が亡くなった場合、遺族年金だけでは不足することがあります。

ただし、子どもが大きくなるほど必要額は減ります。住宅ローンに団信があり、貯金・投資資産がある状態なら、大きな死亡保険は不要なケースが多いです。

リスク② 長期就業不能(1年6か月超)

傷病手当金は最長1年6か月で終わります。それを超えて働けない状態が続くと、収入が止まります。

このリスクが特に大きいのは自営業・フリーランス・現場仕事の方です。医療保険の日額より「就業不能保険」や「生活防衛費を厚くすること」を先に検討した方が合理的です。

💡 「医療費が怖い」と「収入が止まるのが怖い」は別問題

営業トークでよく聞く「入院したら怖い」の本体は、多くの場合「収入減」です。医療費は高額療養費制度で抑えられますが、収入減には傷病手当金を先に確認するのが順番です。


⑥ 先進医療特約はどうか

「先進医療特約はあった方がいいのでは」という話もよく聞きます。

厚労省の資料によると、先進医療にかかる費用は全額自己負担です。ただし通常の診察・検査・投薬・入院料などは公的保険の対象になります。

先進医療は患者が希望し、医師が必要性と合理性を認めた場合に行われるものです。令和8年3月時点で対象は69種類。何でも最新治療が受けられるわけではありません。

月100〜200円程度の特約なら選択肢にはなります。ただし、それを理由に月5,000〜1万円の医療保険本体に入る必要はありません。


50代会社員の私の判断:解約して後悔がない理由

私が医療保険を解約したままにしている理由はこうです。

  • 会社員なので高額療養費制度・傷病手当金が使える
  • 子どもはすでに大学生(死亡保障の必要額は下がっている)
  • 生活防衛費と投資資産がある
  • 死亡保障1,000万円の定期保険は継続中
  • 住宅ローンに団信がある

公的制度と手持ちの資産を確認した結果、「医療費は制度と貯金で対応できる」という判断です。

ただし同じ50代でも、答えは違います。

子どもの年齢、ローンの有無、貯金額、働き方によって状況は変わります。大事なのは「営業マンに言われたから」でも「みんなが入っているから」でもなく、自分の家計で確認することです。


まとめ:保険を考える正しい順番

保険を見直すとき、私が重要だと思っている順番はこれです。

① まず公的制度を確認する 高額療養費制度・傷病手当金・遺族年金・労災・団信——自分がどれに該当するかを整理する。

② 公的制度で足りない部分を見つける 「家計が壊れるリスク」のうち、制度でカバーできていないのはどこか。

③ 足りない分だけ保険で埋める 貯金で払える医療費ではなく、死亡・長期就業不能など取り返せない損失に絞って使う。

保険は「不安を消すもの」ではなく、「家計が壊れるリスクだけに使うもの」です。

まず公的制度を確認してから判断しても、遅くはありません。


参考資料(一次情報)

固定費見直しの全体像は、こちらのロードマップにまとめています。

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